薄毛の人95％が認めたアレの効果

30歳を過ぎた頃から、僕は自分の生え際に漠然とした不安を抱えていた。鏡を見るたびに、M字部分が少しずつ、しかし確実に後退している気がする。シャワーの後の排水溝に溜まる髪の毛の量に、胸がざわつく。インターネットで情報を漁っては、効果の定かではないサプリやシャンプーに手を出し、気休めの日々を送っていた。そんなある日、僕はついに決意した。「第一類医薬品」であるミノキシジル配合の発毛剤を試してみよう、と。しかし、その決意とは裏腹に、薬局のヘアケアコーナーで、僕は何度も逡巡していた。目的の製品はすぐに見つかった。だが、その箱には「要指導・第一類医薬品」の文字。これを手に取り、薬剤師のいるカウンターへ向かうという行為が、まるで自分が「薄毛である」と公に認めるようで、ひどく恥ずかしかった。周りのお客さんの視線が、すべて自分に突き刺さっているような気さえした。10分ほどウロウロしただろうか。「悩んでいても何も始まらない」。僕は自分にそう言い聞かせ、意を決して製品を手に取り、カウンターへと向かった。薬剤師の女性は、僕の緊張を察したのか、穏やかな笑顔で迎えてくれた。「こちらですね。ご使用は初めてですか？」。彼女は、僕を小さなブースへと案内し、プライバシーに配慮してくれた。そこで渡されたのは、タブレット端末に表示された問診票だった。年齢、症状、持病の有無、現在使用している薬…。僕は一つひとつ、正直に回答していった。その後、薬剤師は問診票の内容を確認しながら、ミノキシジルの効果、正しい使い方、そして起こりうる副作用について、非常に丁寧に説明してくれた。特に、使用開始後に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」の可能性については、「これは効果が出始めているサインでもあるので、驚いて使用をやめないでくださいね」と、僕の不安を先回りするように教えてくれた。すべての説明が終わり、僕はついにその箱を手にした。会計を済ませて店を出た時、僕の心は不思議なほど晴れやかだった。それは、一人で抱え込んできた悩みを専門家に打ち明け、科学的根拠のある一歩を踏み出せたという、確かな手応えと安堵感だった。この日、僕はただの発毛剤を買ったのではない。未来への希望と、自分と向き合う勇気を手に入れたのだ。