薄毛は仕方ない?老化現象と割り切る前に

投稿日2023年9月12日 投稿先 円形脱毛症

髪が薄くなることを、単なる「老化現象」の一つとして受け止め、仕方がないと諦めてしまう人もいるかもしれません。確かに、年齢を重ねると誰しも髪に変化は現れます。白髪が増えたり、髪全体が少し細くなったり、ボリュームが減ったりすることは、生理的な老化のプロセスの一部と言えます。しかし、一般的に「はげ」と呼ばれる状態、特に男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)による薄毛は、単なる老化とは異なる側面を持っています。老化による髪の変化は、比較的ゆっくりと、頭部全体に均一に現れることが多いのに対し、AGAやFAGAは特定のパターン(例えば、男性なら生え際の後退や頭頂部の薄毛、女性なら頭頂部中心のびまん性の薄毛)を示し、進行性であることが特徴です。これらの脱毛症の主な原因は、遺伝的な素因とホルモンの影響であり、加齢はその進行を助長する因子ではありますが、直接的な原因そのものではありません。つまり、AGAやFAGAは、単なる老化現象というよりは、治療の対象となり得る「疾患」としての側面を持っているのです。もし、「もう年だから仕方ない」と諦めてしまうと、本来であれば治療によって進行を抑制したり、改善したりできる可能性を逃してしまうことになります。AGAやFAGAに対しては、現在、有効性が科学的に証明された治療法が存在します。内服薬や外用薬を用いることで、多くの場合、薄毛の進行を食い止めたり、毛髪の状態を改善したりすることが可能です。もちろん、治療効果には個人差があり、年齢が高くなるほど改善の程度は緩やかになる傾向はありますが、それでも早期に治療を開始すれば、QOL(生活の質)の維持・向上に繋がる可能性は十分にあります。また、薄毛の原因がAGAやFAGAではなく、他の疾患や、薬剤の副作用、極端な栄養不足などが原因である場合もあります。この場合、原因となっている疾患の治療や、原因薬剤の中止、栄養状態の改善などが必要となります。「老化だから」と自己判断してしまうと、こうした背景にある問題を見逃してしまう危険性もあるのです。年齢を重ねることによる変化を受け入れることは大切ですが、薄毛に関しては、単なる老化現象と決めつけずに、一度専門医に相談してみることをお勧めします。原因を正しく知ることで、適切な対処法が見つかり、諦める必要のない悩みである可能性もあるのです。