薄毛を治そうと決意し、勇気を出してAGA治療を始めたにもかかわらず、治療開始から数週間で以前よりも抜け毛が増えてしまったという経験をする人は少なくありません。せっかく薬を飲み始めたのに、逆にハゲてしまうのではないかという恐怖に襲われるこの現象は「初期脱毛」と呼ばれています。しかし、結論から言えば、これは治療が順調に進んでいる証拠であり、決して副作用による悪化ではありません。このメカニズムを理解するためには、髪の毛の成長サイクルであるヘアサイクルについて知る必要があります。髪の毛には、成長して伸びる成長期、成長が止まる退行期、そして抜け落ちるのを待つ休止期という三つの段階があります。AGAを発症している人のヘアサイクルは、強力な男性ホルモンの影響で成長期が極端に短くなっており、髪が太く長く育つ前に抜けてしまう状態にあります。また、毛穴には成長が止まったまま留まっている休止期の古い髪が多く存在しています。 治療薬、特にミノキシジルなどの発毛を促進する薬を使用すると、毛根の細胞分裂が活発になり、休止していた毛根が一斉に新しい髪を作り始めます。すると、新しく作られた元気な髪が、毛穴に残っていた古い弱々しい髪を押し出す形で成長してきます。これが初期脱毛の正体です。つまり、抜けている髪は、遅かれ早かれ抜ける運命にあった古い髪であり、その下では新しい髪が確実に育っているのです。この現象は、子供の歯が大人の歯に生え替わるプロセスに似ています。乳歯が抜けないと永久歯が生えてこないように、古い髪が抜けることは、強く太い髪が生えてくるための準備段階なのです。このメカニズムを知らずに、薬が合わないと勘違いして治療を中断してしまうことは、非常にもったいないことです。初期脱毛は、休止期にあった毛根が目覚め、正常なヘアサイクルを取り戻そうとしているサインです。一時的な見た目の悪化は辛いものですが、それは頭皮の下で劇的な改革が起きている証だとポジティブに捉えることが重要です。
AGA治療で最初に訪れる抜け毛の正体