薄毛、特にAGA(男性型脱毛症)の治療を考えるとき、その戦略は「守り」と「攻め」の二つの側面に大別されます。そして、この二つのアプローチを代表するのが、「内服薬」と「育毛メソセラピー」です。これらは、どちらか一方を選ぶという対立関係にあるのではなく、互いの弱点を補い合い、相乗効果を生み出す最強のパートナーとなり得るのです。まず、「守り」の治療の主役である内服薬、フィナステリドやデュタステリドの役割を見てみましょう。これらの薬は、AGAの根本原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える働きをします。テストステロンがDHTに変換されるのをブロックすることで、ヘアサイクルを乱す攻撃そのものを止め、抜け毛を防ぎ、薄毛の進行を食い止める。これは、いわば「火事の延焼を防ぐ消火活動」に例えられます。全身に作用し、薄毛の進行を根本から抑える、極めて重要な土台となる治療です。一方、「攻め」の治療の代表格が、育毛メソセラピーです。こちらは、髪の成長に必要な成長因子やミノキシジル、ビタミンといった栄養素を、頭皮に直接注入することで、弱った毛根を活性化させ、発毛を促します。これは、「焼け跡に新しい種を蒔き、肥料と水を与えて力強く芽吹かせる園芸作業」に似ています。薄毛が気になる部分に集中的に働きかけ、髪を積極的に育てていくアプローチです。この二つを組み合わせる「併用療法」がなぜ効果的なのかは、この例えからも明らかでしょう。消火活動(内服薬)で火事の進行を完全に食い止め、安全になった土地に、集中的な園芸作業(メソセラピー)で緑を再生させていく。守りと攻めが完璧に連携することで、単独の治療では得られない、より早く、そしてより確実な改善が期待できるのです。内服薬で抜け毛の心配がなくなり、メソセラピーで新しい髪の成長を実感する。この二重の安心感と手応えが、治療を続ける上での大きなモチベーションにも繋がります。
育毛メソセラピーと飲み薬の併用で高まる効果