生え際の後退、いわゆるM字ハゲの進行に悩む人々にとって、一般用医薬品として唯一「発毛効果」が認められている成分、「ミノキシジル」は、大きな希望の光です。しかし、一部では「ミノキシジルは、頭頂部には効果があるが、生え際(前頭部)には効きにくい」という噂も囁かれています。果たして、その真相はどうなのでしょうか。結論から言うと、ミノキシジルは、生え際の後退に対しても、確かに「効果が期待できる」成分です。ミノキシジルは、頭皮の血管を拡張させて血流を増加させ、髪の成長に必要な栄養を毛根へと届けやすくすると共に、毛母細胞そのものを活性化させることで、発毛を促進します。この作用は、頭皮のどの部位であっても、基本的には同じです。実際に、ミノキシジル外用薬の臨床試験では、頭頂部だけでなく、前頭部においても、毛髪数の増加といった、有効性が確認されています。では、なぜ「生え際には効きにくい」というイメージが生まれてしまったのでしょうか。その理由の一つとして考えられるのが、生え際という部位が、もともと「効果を実感しにくい」場所である、という点です。頭頂部は、自分自身の目で確認しやすく、髪の密度の変化にも気づきやすいです。しかし、生え際は、産毛が生えてきても、それが既存の髪と馴染んで、ヘアラインの変化として認識されるまでには、より多くの時間と、髪の成長が必要となります。また、AGAがかなり進行し、毛根そのものが、すでに完全に活動を停止してしまっている(線維化してしまっている)場合は、ミノキシジルをもってしても、そこから再び髪を生やすことは、極めて困難です。生え際は、薄毛の進行が、自分にも他人にも分かりやすいため、治療への期待値が高くなる一方で、効果の実感が遅れると、そのギャップから「効いていない」と感じてしまいやすい、という心理的な側面も、大きいのかもしれません。重要なのは、効果がないと諦めるのではなく、まずは最低でも半年間、根気強く、そして正しく塗布を続けることです。
生え際の後退にミノキシジルは効くのか